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2008年12月20日 (土)

マイパイ

昨日、Aちゃんがニッポンへ旅立った。

唯一と言えるコン(人)タイのプアン(友達)である彼女と、
しばらくの間(二週間ほど)会えないのは少し寂しいが、
それよりもなによりも、生まれて初めて訪れる
「憧れの地」ニッポンのことを、彼女がいったい
「どう感じるのだろうか?」という事にとても興味がある。

一人で飛行機に乗るのは初、というAちゃんが
「イズミさんも一緒に行こうな〜」と、
ちょっと不安なこともあってか冗談まじりで言うのに対し
「ニッポンになんて帰りたくないよ。だって
あの国がイヤでタイに来たんだから」などと
つい、マジメに答えてしまう僕。

慌てて
「もちろんニッポンには楽しいことがたくさんあるから、
ゆっくり楽しんでおいでよ!」な〜んてフォローはしたが、
旅行前の彼女に、どうしてそんな
イヤラシイ事を言ったのか自分でもよくわからなかった。

弱冠22才にして、一つの「夢」を達成できる彼女に対し、
ジェラシイを感じたのだろうか。

きっとそれは大袈裟な話ではなく、僕が知る限り
多数のタイ人にとってニッポンは「憧れの国」であり、
子供の頃から「いつかニッポンに行ってみたい」
と思うのは不思議なことではないし、現実にその願いが叶うのは
数少ない富裕層の家に生まれた人々か、もしくは
貧しくともなんらかの手段でそれを勝ち取った人々に限られる。

ニッポン人がタイに旅行するのとはワケが違うのだ。

今回Aちゃんがヴィサを取得する苦労を見ていたが、
ハッキリとした渡航目的から始まり、預金残高明細他
鬼のような数の必要書類を用意させられてチェックを受け、
まるで「そう簡単には行かせないぞ」と
プレッシャーをかけられているがごとくであった。

かと思えば
「お金さえ払えばそんなに大変ぢゃない」なんて話も聞くから、
この国のことは本当によくわからない。

ともあれ、僕が42年間住み続けた末
「イヤになって」「色んなものを捨てる覚悟をして」離れた
祖国のことを、夢を持って新たに訪れたこの国、
「タイの女のコ」が実際にその目で見ていったいどう思うのかが、
正直な話スゴ〜く気になるのである。

日頃からネットなどを通じて、ニッポンのことを
よ〜く知っている彼女のことだから、ひょっとしたら
「な〜んだ。この程度か」と感じるか、それとも
「予想通り素晴らしい国」と感じるのか。

ひとつ心配なのは、ニッポンジンにとっては少なからずあるだろう
東南アジアの女性に対する偏見だが、それは
迎えるカレシがずっと一緒にいるだろうから大丈夫かな。

こんな寒い時期に行って、暑さしか知らぬ彼女がもし
寒さを苦にしないようだったら、きっと
「この国になら住める」と思うに違いない。

僕だってもちろん「ニッポンはいい国」だと知っている。

ニッポン人として生まれた誇りもあるし、
一生懸命タイ語を学びながら
「パーサータイヤーク(タイ語は難しい)」などと言いつつも
ニッポン語がどれほど難しいかを再認識したし、
四季の移り変わりの美しさだって、
「ワビサビの世界」だって、ある程度はわかっているつもりだ。

それでも僕がこの国にやって来たのは、
将来に対しての可能性を感じたからであり、
「自分が楽しく暮らせる」というフィーリングが全てだった。

決心するために敢えて、ニッポンのイヤな部分や、
将来性の無さを自らフィーチャーして見てきたこともあり、
たまたまタイミング良く(悪く)
「変な事件」が続発したりしたせいもあるが、
今はもう、僕の中のイメージに残る
「古き良きニッポン」の姿はすでになく、冒頭の
「ニッポンになんて帰りたくない」というのは
本心だ。

実際に住んでみて、様々な不安が出てきたのも事実だが
そんなのは当然予想済みであり、今のところまだ
愕然とするようなことは起きていない。

ま、大概のことは
「アメージング!」という一言で
片付けられるからね。


Aちゃんを空港まで送るタクシーの車中、
見覚えのあるその景色を眺めながら、
何度か旅行した後にその道を通るたび
「ニッポンになんて戻りたくないよ〜!」と、
本気で願ったことを思い出し、
少しだけ寂しい気持ちになったものだ。

Aちゃんの大きな旅行用トランクをガラガラ引く僕を見て
「なんだ。お前ニッポンに帰るのか?」と
声を掛けてくるおっさんやおばちゃん達に
「マイパイ。ポムチョープタイランド
(行かないよ。僕はタイが好きなんだ)!」と答えると、
「そーかそーか。それはよかった」なんて
ニッコリされたりする。

そんな下町の雰囲気が好きだ。

だから僕はニッポンに帰らない。

そう。
帰りたくないのではなく
「ずっとこの街にいたい」のだ。


などと自己分析しつつ、
未だにちゃんとしたプアンが
Aちゃんしかいないことにあらためて気づき
一抹の不安を感じる。


今日はひさしぶりに

ディスコにでも行ってこようかな。

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