クラン(グ)レーク
「トックヂャイモッ(トゥ112211)」
気持ちや心情を表す単語は
「ヂャイ」、つまり
「こころ」を意味する言葉との組み合わせでできている場合が多く、
「ディー(22良い)ヂャイ」≒「嬉しい」
「シア(12壊れる)ヂャイ」≒「悲しい」
「ネー(32確実な)ヂャイ」≒「確信する」
「マン(32しっかりした)ヂャイ」≒「自信がある」
「ソン(12関心を持つ)ヂャイ」≒「興味がある」
「ヂン(グ22本当の)ヂャイ」≒「正直」などいろいろあって、では
「トック(11落ちる)ヂャイ」は何かと言えば
「ビックリする、驚く」の意味であり、それが
「モッ(トゥ11尽きる)」となれば、これはもう相当の
「驚異」を表現するタイ語となる。
その言葉が素直に口から出た瞬間、実際にオレの
「こころ」は堕ち切っており、アゴがハズれるような
「衝撃の事実」に打ちのめされつつも、
「なんて素敵なタイ語の表現♪」などと、頭の片隅では
「ふ」と思ったりもして。
タイに移住してきた以上、
「誰でも通らねばならぬ道」とは思っていたし、
「いつかその日がやって来る」と、覚悟してもいた。ただ、その
「事実」を目の前に突きつけられた時のショックは大きく、しばし
「呆然」としてしまったのは致し方ないところであろう。
「デビュウ」と呼んでしまっては、当然
「今後の展開もアリ」が前提となってしまうが、それでも
どーしてもそう呼びたくなる
「人生初の体験」の現場は、意外なことにお隣の国
ラオのヴィエンチャンであった。
勘のいい方ならばもうお分かりかもしれない。
そして、今のオレの正直な心境としては
「目の前の霧が晴れた」ような、清々しく
「スッキリ」とした気分なのである。
*「シモネタ」が好きでない方は、この先読むべからず。
日曜日の朝から五日ほど小旅行に出掛けていた。
「年末に海外」なんて言うと聞こえはいいが、今までの
「恒例行事」であった、ラオのヴィエンチャンへの
「ヴォザ取りツアー」であり、いつもと若干違うのはそれが
「ノンイミグラントヴィザ(ED)」ということ、そして
「しばらくの間(一年もしくは数年)は、もう行かなくて済む」
はずなので、ここ数年の
「ルーティーン」として定期的に訪れていたあの場所へ
「別れを告げる」感傷的心情が含まれていたことだ。
毎回ピザを食べるのを楽しみにしている、某
「スウェーデンベーカリイ」がなくなっていて若干
ショックを受け(結果的には移転先が判明した)、大好きな某
「ハーバルサウナ」も、着いた当日は営業しておらず、何となく
「出鼻を挫かれた」格好だったが、今回は
「ラオ二泊&ウドンターニー二泊」という日程であり、
気持ち的には余裕を持って、初日の夜を迎える。
メコン川沿いはキレイに整備され、新しい
ゲストハウスがどんどん建設され、新しい
レストランなども増えて、狭いながらもここ数年で
「発展急」なヴィエンチャンの町。
ご多分に漏れず、ディスコやパブなどの
全面改装や新規出店もあって
「ナイトライフ」にも時代の波を感じずにはいられない。
某ディスコ「future」も改装を終え、DJフロアの奥には別棟で
「ライヴエリア」が作らていて、まだ初々しい
「コピイバンド」によるタイポップの演奏で
地元の若い衆が盛り上がっていた。
そう。
「ラオポップ」ではなく、オレにも聞き覚えのある
「タイポップ」を大合唱する彼ら。つまり
「タイ文化の波」が押し寄せているのを感じるわけで、
「ピザカンパニー」「スウェンセン」「フジレストラン」など、
「食」にせよ「音楽」にせよ、近隣国の良いものの進出はもちろん
悪くないことなのであろうが、ラオという国の
「素朴さ」を気に入っていたオレとしては、そんなシーンに少し
寂しさを憶えるのも正直なところ。
今、イケてるディスコは某
「ゴールドなんとか」らしいのだが、某
「フューチャー」も例の「ク」のつく日だったこともあってか、
日曜日にしてはそこそこの人で埋まっていた。
しかし、相変わらずの寂れ具合と言うか、
若いコ達で盛り上がるバンドエリアに比べ、
DJエリアは年配客が多く、しかも男子比率が高い。
そんな中、別に何の期待感もなく某
「ビアラオ」の大瓶を飲んでいたら、いつものように
「網を張っているプロ」のうちの一人のコに捕まり、
「コイツ男かな女かな」と疑ってかかるオレ。
ちょっと声が怪しかったし、何しろヴィエンチャンのディスコでは、
ラオガールとオカマちゃんが一緒のテーブルに混ざっているので
ややこしくて仕方がないのだ。
隣のテーブルのそのチームは全員女子っぽかったのだが、唯一
彼女だけがオレには怪しく見えた。
「金払う気なんてないよ〜」とかわしていると、結局
そのコは他の客を見つけた様子で、中でも一番マシなコが、
何故か売れ残ってしまっていた。
店が終了し、仕方なく少しの間彼女と話していると、
とりあえずオレのホテルまでトゥクトゥクで送ってくれる
(自分で料金は払う)と言い、意思の疎通は今ひとつだったが、どうやら
「(家が遠いので)一緒に住む友達を待つ間部屋に居させて欲しい」
とのことだった。
「プロの女子を購入する気はない」
ということはハッキリ伝えていたので、特に断る理由もなく
彼女を部屋に入れるオレ。ここでフツーは
「怪しい」と思うのに、まったく疑いもしなかった。最悪
「襲われ」たとしても、トゥクトゥク代を払って追い出せばよいと思ったし
「襲われ」ても問題ないレヴェルのコだったしね。
二十才のVウ嬢としばらく話をして、
「何もしないからね」と断った上シャワーを浴び寝る準備をすると、案の定
彼女の方から手を出してきたが、その時点でもまだオレはVウ嬢が
「エッチをしてしまえばいくらかはお金がもらえるだろう」
的な発想でいるのだとタカを括っていた。
「されるがまま」状態のオレをその気にさせようとするVウ嬢。
「フェラーリ」テクは抜群で、仕方なくバッグから
ニッポン製コン○ームを取り出し装着すると、彼女自ら
「後ろ向きの騎乗位」という何だか変な体位で結合。
「珍しいパターンだが悪くないぞ」などと思いつつ、しばらくして
体位を変えようと動くと、何故か拒否られる。
「タマダー(正上位)がいい」とオレが言っても聞かず、
彼女を無理矢理寝かせて表を向けると、
股の部分を両手で押さえているVウ嬢。
「お前、まさか......」
この時のショックをいったい
何と表現したらいいのだろう。
あろうことか彼女、いや彼は
「サオ付きのレディーボーイ」
だったのである。
顔も声も背の高さも足の大きさもスタイルも
「不自然」なところなどまったくなく、
「ハナ」から女子だと思い込んでいたオレはあまりにも
「ビックリ」し過ぎて、まさに
「こころ」が、ベッドを突き抜け地面を突き抜け
地球のコアまでも突き抜けてブラジルまで
「落ちた」ような気がした。
過去に、襲われて
「ディープキス」までなら何度となくあるオレも、ついに
「同性同士のセックス」デビュウを果たしたというワケだ。
「暗くして」と言われTVの明かりのみだったが、それは
タイガールが相手でもたまにあることだし、とにかく
その瞬間までフツーに
「コトが運んでいる」と思っていて、まったく
「疑いもしなかった」のだからビビる。だって、もし仮に
あのまま体位を変えずに終了し、シャワーを浴びて、
「サクッ」と帰られてしまったら、ひょっとして
「男子のア○ルに挿入した」という事実を
「知らぬまま」だったかもしれないのだ。
コワイコワイ
コワ過ぎるぞ。
ただ、聞くところによると、
「13才からホルモン剤を飲み続けている」らしい彼女、いや彼、
近くでじっくり見ても体つきや表情など女性そのものだし、
肌の感触も、よくありがちな
「筋肉質でカタい」感じではなく、女子の
「それ」だったから、事実を知った後でも
「おぇ〜!気持ち悪ぅ〜」とはならなかったし、まだ
救われた気がする。
だから、しばらくしてショックから立ち直ったオレは
「何故最初から言わなかった」とVウ嬢を責めることもせず、もちろん
「攻める」こともなかったが、その後彼女とどーなったかは、
ご想像にお任せしよう。
翌日、もうしばらく来ることのないヴィエンチャンの
「ハーバルサウナ」を楽しもうと、お昼ごはんに新しくできた
インドカレー屋さんでごはんを食べた後に寄った。
相変わらず
「ゲイボーイ」の巣窟であり、彼らの視線がイタイのだが、
「ハーバルサウナ」の」魅力には勝てないし、実際
口説かれてもおしりを触られても、毅然と断れば
特に問題はないのだ。
それでも彼らは真剣であり、おそらく
ニッポン人のもやしっ子的体型のオレなんて格好の
「ターゲット」になるのは仕方がなく、
「アウマイ(2223ヤる)?」みたいなメチャメチャ分かりやすい
口説きを受けたリ、帰ろうとすると
「もう少し居なよ」と惜しまれたリと、
積極的な彼らの態度には頭が下がる思いだ。
「もし今日こっちもいったら、一日で
両方一気にデビュウすることになるな」
「ふ」とそんなことに気付いたが、
「挿入される」方はまだ
さすがにムリです。はい。
*「クラン(グ)レーク(223332)」は「初めて」の意。
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